2015年9月28日月曜日

幽玄懺悔


先週大阪でお仕事があったので一日奈良に帰りました。
月夜の鈴虫の音を聞きながら床について、朝は庭の葉っぱに落ちる雨の雫の音で目が覚めました。遂一週間程前にも一日奈良に帰ったのですがその時はまだ鈴虫と蝉が一緒に鳴いていました。もうすっかり秋です。

その前の週は新薬師寺の裏に或る入江泰山記念奈良市写真美術館で奈良出身のフォトグラファーNAOKIさんの写真展のレセプションに参加しました。実はNAOKIさんは同じ高校の大先輩にあたるのですが、数日前に 何かスピーチをという宣告を受け、私の写真展に行くという気軽な感じが一変しました。

でもいつも友人の結婚式のスピーチを頼まれたときもその場に思い浮かんだことをツラツラ並べてしまうので(必ず後からちょっと後悔するにも関わらず。そして友人の結婚式のスピーチとはまた訳が違うことに気付いてくれ)この日もその場で浮かんだことを口にしようとオープニングパーティーが始まって1分も経たないうちにマイクが回ってきました。


いやはや奈良の諸先輩の中でこんな大きな女が何を話すのだろうという感じだったと思います。あまりにも早いマイクだったのでマイクを受け取ってから10秒(体感はそのくらいだったような)ほど固まってから話し始めた第一声に自分もビックリしましたが、結局長いこと何かを喋っていたように思います。何を喋ったかは覚えていないのですが、その後皆様と一緒に展示を見ながら、しかしスピーチのあとはずっとドキドキが止まらずしていたら「これはあなた?」と写真に写る全然違う女性を見ながら3人のお母様が喋りかけて下さって、そんな一言から20分程お母様方の人生についてのお話を聞かせて下さり、何度か目に溜まる物がありました。


幽玄なるお母様方を目の前にし、海外から帰ると必ずや奈良に帰って仏像を見たり鹿を見たり、奈良は変わらずずっと奈良だと、とても懐が深い土地であると、奈良に住んでいるときは全く何も感じなかったのですが、東京に出て、そして日本の外に出て自分の個性みたいなものはなんなのかといつも見失えばヒントが私には奈良にありました。

NAOKIさんありがとう