2020年6月29日月曜日

一番のカレー

美味しいご飯やさんはたくさんある。

その時の自分の状態にも寄るけれど
あの時自分はこういう状況にいたからこそ、
忘れられない味になった。というのが誰しもあるんじゃないかと思う。

神保町の街に、人に60年愛され続けた
「キッチン南海」が先日、60年の幕を閉じた。
私はカレーだったらここが一番と思っていた。

初めて食べた時、食欲の不振が続いていた時で、外食は久しぶりだった。1ディッシュを食べられるような自信はなく、しかしご飯を少なめには頼まなかった。

出てきたときは見た目に圧倒され最後まで食せるかと不安に思ったけれど、パクパクパクパクスプーンが止まらなかった。カレーという名の刺激的なものも久しぶりだったし、自分がこんなに食べられるまで「復活していた」という自信にもなった。

心から美味しかった。
写真なんて撮ることも忘れ、綺麗に平らげた皿と、足早に破ったお箸の袋のあとが私の心情を表していた。

そんな60年続いたキッチン南海のインタビュー記事を見て、
世の中の麻雀ブームに乗って、麻雀をしながら片手で食べられるものとしてカレーが大ヒットしたとは知らなかった。

閉店と言えど、そこで30数年勤めあげた現料理長でもある甥っ子さんが、また新たに神保町にオープンする予定だそうだ。またあの味が食べられることを楽しみにしています。