2020年1月27日月曜日

一汁一菜



昔行ってた美容室の私より10こくらい若い子が食は空腹を満たすためだけのものでしかないと言ってて、その子にこの本読んでと言いたい。若い人に読んでほしい。私も東京に来て初めて一人暮らしして、それまで実家で毎日無条件に出てきてたご飯が自分で作らんと始まらんくなって、
良い仕事は良いご飯から、良い仕事は良いお家からって色んな職種の人が言うてはった。でもそんなことをちゃんと理解するようになったのは最近かもしれない。

この本の中で採算出てくる「情緒」という言葉
そして「本物」であるために大切なことを2つ。

私まだまだ辿り着きたい処があるわ。

私、奈良の生駒出身なのですが、この本に出てくる土井先生も通ってはった「やきもの 生駒」って全然知らなかった。
知っていたら行きたかった。
生駒に日本中から選りすぐったセンスの良い器やさんがあったとは。

2020年1月24日金曜日

色彩を探す

難しい撮影が続くと、
家に帰って床に座り、ソファーにもたれながら
ドクタースースの緑の卵とハムを見る。
ドクタースースの、日常ではなかなか見ない色彩をひたすら見るのである。


因みに字幕のぶつぶつというのは「rush」というのだが、
昔、イギリス生活で蕁麻疹になったとき、症状を見せたら rush?って言われた唯一覚えた単語の1つ

2020年1月22日水曜日

額縁

お願いをしていた額縁が出来上がったとのことで、浅草橋にある東芸フレームさんに取りに行った。
東芸フレームさんの伝票をよくよく見てみると、奈良の三条通りにあるお店「書遊」さんの社名があったので、店主に尋ねてみると業務提携をされたのだとか。

書遊さんは書道の道具などが揃っているお店で奈良に帰るとたまに封筒を買いに行くくらいなのだが興味深いものがたくさんある。

今年になって実は書道を始めた。
なぜなら、毎年年賀状で自分の字を見て絶望していたからだ。そのことを店主に伝えると
「お待ちしていますよ」
「多分10年以上はかかると思います」
「それまで生きてるかな」

と、預けた絵が預ける前よりも生き生きして、その絵に合った額縁を提供してくださった。いつか額に入れられるような書が書けたらここの店主に一緒に額を見てもらいたい。

これまで絵を飾るような家ではなかったのだが、写真家の友人の写真や、馬喰町にあるミナペルホネンのお店 elava Ⅱなどで頂いた絵を大切にしたいと思ったのがきっかけである。



2020年1月19日日曜日

最近の嬉しいこと

茶碗蒸しが上手く作れるようになったこと。

美しい卵と出汁が合わさった色が濁りなく椀に張って、その姿の美しいこと。スプーンを入れれば少し出汁が現れて、それと一緒に掬い口に運ぶ。好物を自分の手で美しく美味しく作れるとはなんと嬉しいことか。

この茶碗蒸しが愛しく見える椀が知りたい。
出来れば蓋付きの

2020年1月18日土曜日

ケーキとナイフ

美味しいお菓子をたくさん知っている友人に教えてもらったお店 イデミスギノ

前回行った時はイートインは激混みで、ジャムだけを買って帰った。
今回訪れたのはお昼過ぎの14時くらいだっただろうか、少し待ったら入ることが出来た。
一つ700円代のケーキ達、
テイクアウトのお客さんがたくさん居たので少々焦り気味で注文し、あとで気付いたけどイートインでしか食べられないケーキがあるではないか。

席に座り、静かにケーキと向き合う。
なんて名前のケーキか忘れてしまったけど帝国ホテルの外装と内装が合わさったような上品さ、クラシックな感じではなく大人の雰囲気のするものだった。←私の舌の感想すみません
少しずつ味わって食べた。食べ終わって回りを見たら皆ナイフとフォークで食べてた。僕、ケーキをナイフを使って食べたことないよ。しまつた。

食べ終わってレジの方に進むとソファー席に絵が飾られてあるのが目に入った。あまりに素敵な絵だったのでレジのお姉さんに尋ねてみると「日本画家の福本正さん」という方が描かれたのだそう。


いつか運良くソファ席に座ることができたら福本さんの絵を見ながらエベレスト (イートインでしか食べられないケーキの名)をフォークとナイフでいただきます。

写真は日本橋artさんのインタビュー記事よりお借りしました。
是非こちらの記事も合わせて読んでみてください

2020年1月17日金曜日

最近の好きなこと

撮影が早めに終わったというのに、私は最近家が好きで直帰してしまう。
せっかく外に出掛けたし、ヘアさんやメイクさんに素敵にしてもらったのに。

家で、三葉虫の化石みたいな銀色の湯たんぽの近くで、本を読んでるのが最近の好きなこと。
(注;三葉虫を大切に包んであげること。火傷注意)

2020年1月15日水曜日

カルボナーラ

今日は朝からなぜだか散々だった。散々とはとんだ言い種だなと言ってる自分もいるのだけれど。
今日はそんな日なんだと思いながら、朝からオーディションに行き、次の用事までに腹ごしらえをしようと入ったお店で右には60代くらいの女性3人、左には高校生のカップル

高校生のカップルと隣になることが全くないので一体どんな会話をするのかと思いながら、カルボナーラを食べた。カップルの女子が一言も言葉を発さないではないか。

右の女性方は先生だったのかな。校長先生の話をしている。校長先生か、と私の記憶には一番に思い付くのは小学校の時の校長先生だった。
毎日欠かさず私たちが登校する時間帯に校門から少し坂を上がった辺りに立って、笑顔で生徒たちに挨拶をしていた。低学年の子達は校長先生とジャンケンをすることを楽しみにしていた。私もジャンケンしたかったのだが、極めてシャイな小学低学年時代を過ごしていたので、いつも友達がジャンケンしてるのを30歩くらい遠目から見ていた。話したことはなかったけれど顔も名前もフルネームで覚えている。
皆大好きだった校長先生。

懐かしく温かい思い出に浸れたのだから散々ではないのだ。

2020年1月14日火曜日

錦繍

昨年の師走のある日、5ヶ月間舞台稽古と本番をやりきった私にじゅんこさんがお食事を誘って下さった。
20代の時、じゅんこさんとのお食事の場で、本の紹介を受けたのだが「これはちょっとまだ早いかな」と言われた言葉を今思い出した。何の本かは忘れてしまったが。

この師走のある日の会話に出てきた本は
宮本輝さんの「錦繍」という本だった。早速図書館で借り、まず最初に衝撃を受けたのは、今まで読んでいた小説はなんだったのかと思った。


最後まで読むとこれまで読んできたことがこの一言に集約されていたんじゃないかという言葉に出会うのだが、本当に良い女たちが登場する。
宮本輝さんの美しい文章を読んで、私のこの感想ったら恥ずかしいばかりだが、この辺りに人に送った手紙は、読み返すと音がいつもより滑らかに聞こえるよう何文字か加わっているようだった。

2020年1月13日月曜日

受け継いでいくもの

ミセス1月号

最初から最後まで全てを読んだ。

ジュエリーやファッションを説明する文章
季節に合った衣食住、そして大きな人生の流れを読むようなコラム。

なぜ私なんぞこんな若僧がミセスの撮影にと最初の頃は思うこともあった。しかし今回、小林照子さんの「次世代への手紙」のページで
「外見的な魅力を最初に磨いておいて、中身は後からつけていけば良い」と。
私はお仕事で着させて頂くものを普段身に付けられるかというとそうではない。
高級なジュエリーやお洋服、買える日なんて来るのだろうかと今よりもっと若いときは思っていた。
しかし良いものを見る機会がたくさんあったお陰で、なんとなく手触りや輝きによって素晴らしいものであるということを感覚的に感じることが日常的にも養われていったようにも思う。
そして日本の一流のアーティストの方々が携わるミセスには、一流の仕事を見ることができる。先輩方の撮影は本当に痺れるし、この雑誌を作っている編集の方々にも会える。どんなに忙しくてもスタッフの方々に手作りのお菓子を作ってきて下さる編集の方もいて、そんな方々が作っている雑誌を全てのページを見ないわけにはいかないと、何日かかけて見るのである。最初から順々に進めていくとページの流れも素晴らしいもので、自分の中にたくさんの知識が入った。
この中に詰まっていることは街を歩いているとハッと、今まで自分が知らなかったお店の前で足が止まったりするきっかけにもなる。足を止める日が中に入る日になっていったり、すぐにではないけれど、いつの日かそうなっていく。
多分読まれている方々の年齢は私よりもお年を重ねられた方々が多いかと思うけれど、私たち世代にも伝えたいことを受け取った。



2020年1月12日日曜日

撮影でも、この撮影が終わらなかったら良いのにって思うことがある。
昨日の撮影がまさにそうだった。

そして前日に食べたご飯も一皿一皿、
このお皿が終わらなかったら良いのにって思うご飯だった。



2020年1月11日土曜日

冬の景色

長めの黒い革ジャンを纏った老年の男性が
橋から少し身を乗り出すようにして川を見ていた。
お世辞とも綺麗とは言えないその川に何かあるのかと思いながら、
その男性の右手には3/4ほど召し上がられたガリガリ君。
通りすぎてから川を覗いてみたが
男性には一体何が見えていたのだろう。

2020年1月9日木曜日

2020年1月8日水曜日

江戸の雨


事務所に新年のご挨拶に行った。
社長のじゅんこさんとお着物の話をして、
「江戸時代の着物の着方、格好いいわよ」
という言葉を元にたまたま目に入った
江戸東京博物館で開催中の「大浮世絵展」に行ってきた。


「江戸のお着物の着方」を念頭に行ったのだが、喜多川歌麿氏の浮世絵から始まり、着物の着方はかなりはだけていることになっていたけれど、
東洲斎写楽に続き、葛飾北斎、広重さんに国芳さん、
じゅんこさんからのお題なんかどこかに行ってしまうほど、良いものを見てしまった気持ちだった。

今日はお江戸は雨でございますぞ。
この雨は広重さんならどんな雨にするのだろう。

名所江戸百景浅草田浦酉の町詣

2020年1月7日火曜日

奈良の湯


もう一つお勧めしたいのが
銭湯の「ほてい湯」である。
銭湯を訪れた回数もそんなに多くはないけれど、今までで一番良かった。
広さと良い、サウナと良い。

西村邸を拠点に奈良にはこんなに素敵なところがあったのかとたくさん発見があった。

お正月におばあちゃんちに来たかのような休息感が得られる西村邸。
夜ご飯の予約までしばし堀ごたつでうたた寝、夜は久しぶりに友人とこれまでの人生を語り合った。

彼、水泳部だと思い込んでいたが、
剣道部だった。
じわじわ思い出してきて、高校の時そんなに絡みは無かったけれど、友人がやると決めて走っている姿は輝いていた。高校の友人何人かにたまに会うけれど、皆自分がこれだと思うものに出会っているその人の言葉は綺麗な鯉が天に昇っていくようなそんな絵が思い浮かぶ。


2020年1月6日月曜日

奈良の美味しいお店

そしてその日は西村邸に宿泊した。
西村邸までの道で美味しそうなお店を二つ見つけた。一つはフレンチでもう一つはイタリアンだった。

最初に言うけれど、本当に美味しかった!
心から美味しかったものを写真に納めるのを忘れてしまったけれど、覚えている限りでご紹介したい。

そば粉のガレッド

猪のラグーリゾット

四国みたいな形のお皿に乗ったチーズ盛り合わせ 

しっかりお紅茶の味がしたデザート

口からミルクが出るようになっていた猫の容器


写真に納めるのを忘れてしまったけどイカスミの冷製パスタというのがあって、そこに百合根が使われていた。私自身百合根に触れるのはこれまで茶碗蒸しのみだったのだが、
こんなに甘い百合根に触れたのは初めてだった。シェフのパワーある説明が果てしなく大切にされた百合根だということが分かった。完熟させた百合根がここまで甘いとは。

そして選べる3つがコースの最後の方にあるのだが、選んだパスタ、そんじょそこらのパスタの美味しさじゃないくらい美味しかった。シンプルなトマトソースなのに何がどうしてやってくる風味がここまで違うものかと。
奈良は美味しいものはあるの?とよく聞かれるけれど、是非ここにお連れしたいと思った。


2020年1月5日日曜日

奈良のセーヌ川

奈良に帰る度に新しいところを発見できたら良いなと思っている。
私の通っていた高校は新大宮にあった。高校からの帰り道、いくつかルートがあって、私は今でも佐保川沿いを歩き、船橋商店街を通り抜ける道が好きだ。
今回も歩きながら船橋商店街がこれからどうなるのかと楽しみに見ている。
昔ながらの青果店や、パーマ屋さん、電気屋さん、道も塗装されて綺麗になった。そこへ新しいカフェや眼鏡屋さんが入り、少し寂れた商店街が新旧混ざって素敵になっていくかと思いきや、住宅が増えて、商店街というのかどうなのかという感じになったように思えた。
お正月でどこもお休みだったからかも知れないが。

今日は高校時代の友人がお婆ちゃんのお家を改装してカフェ兼泊まるスペースを始めたとのことで、そこに行くことになっている。
船橋商店街を抜け、近鉄奈良駅から東向の商店街を抜け、ならまちの方へ歩く。
こちらの方が随分と新しめのことをやっているように見えた。随分ゲストハウスも増えている。
方向的に東大寺や興福寺に行った帰りに、とはならないならまちに是非足を運んでみて欲しい。
新しい発見がいくつもあった。プラプラ歩いているとなんだろうと思うところや、このお正月期は近鉄奈良駅周辺はどこもたくさんの人でカフェも入りにくい。友人が営む西村邸までの道でならまちを歩くのが好きになった。



2020

明けましておめでとうございます。
お正月ってなかなか忙しい。
奈良でゆっくりしたいと思っていたけれど、
ゆっくりって一体なんなんだろうと思う。
本当にゆっくりすることって一体どういうことなんだろう。

実家に帰ると特大のカレンダーが壁に釘で吊るしてあった。


うちの家はずっと1月のページから動かないのだそう。
母が何か嫌なことがあったらこれを見て和む
と言っていた。世界中のどこかでこれを見て和んでくれる人がいることが有り難く、
そんな嫌なことがあるのかと心に留めて、
この仕事の時を思い出す。私なんぞが発言して良いものか分からないけれど、
写真家のワタナベアニさん、今までも仕事を何度かご一緒させて頂いたことがある。静かにシャッターを切る姿、そして上がってきた写真を見ると、アニさんには一体何が見えているんだろうというくらい私自身でも見たことのない自分が写っている。
そしてこの時初めてお会いしたお着物のスタイリストの森さん、
私自身お仕事でお着物の世界に触れられた最初の方が森さんという方で本当に良かったと人生においても思った。
それほどこの仕事に魂を感じる方だった。
そしてもっともっとその世界の奥ゆかしさや本物を知っていらっしゃるのは森さんと森さんのその先にいらっしゃる素晴らしい職人の方々。


私は今年も粛々と目の前のことをしっかり納めて、行くところは行きます。