2020年9月11日金曜日

美しい世界

 そして私はこれまで仕事がすべてで、仕事が軸になってその回りのものを吸収していたんだと思います。

何年か前に、ある人に「全部仕事に役立つからこれをしよう」みたいな考え方をやめた方が良いと言われたことがあって、それは私にはとても難しいことでした。

ただ本当に自分が心底楽しめることだけっていうのがあんまりよく分からず、趣味をなく、だけど今漸く少しですが分かったような気がします。

だからブログにも書こうって思ったんだと思います。もう人生の半分くらいモデルのお仕事をさせてもらって、自分の写真の変わる瞬間というのを見てきました。

それは自分の人生の中で大きな出来事があった時です。海外に体当たりで挑戦することや、その時の自分の限界を知ること、うちひしがれること、また這い上がること、初舞台への挑戦と、様々な表情を見せてくれたなぁと思っています。普段から仕事をしていると自分自身代わり映えのない写真が続くことの方が多いです。

大きな挑戦をするのもうちひしがれるのも這い上がるのも物凄くエネルギーのいる作業です。このまま庵を広げて隠居生活でもしたいわと思うことだって多々ありました。

そんな中自分軸でやってきたこととは違う受け入れる体勢をとらなくてはいけなくなって、初めての経験と、いつになく写真が違う方に変わりました。大変なことを経験することも強さと弱さを知ることになるのですが、明らかに全てを受け入れている写真に変わっていきました。

もちろんファッションですからお洋服があるというのが大前提で、だけど最終的にいつも思うのは、写っている人の人生とお洋服が合わさる美しい瞬間というのがあるのです。

美しい瞬間なんです。

モデルとしてそこに立ってる以前に毎日を重ねてきたその人がそこに立っているんです。

そしてその時を今そこにいる人達と共有し、後々にその写真をみる人達と共有する時があるんです。

お腹に赤ちゃんがいるときの方がそれを深く深く感じました。

ファッションはこれから大変な時代になるかもしれませんが、そしてモデルのお仕事も今までとはまた少し違うだろうと思います。

だけどこの感覚を忘れずに、私には私にしか出来ないことをやっていけたら良いなと思います。

とても美しい世界